歯を失った時の治療法
インプラント
顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を取り付けることで、高い審美性と機能性を回復させる治療法です。
当院では、埋入手術の前後のカウンセリング・検査、メインテナンスにも力を入れ、安心してお任せいただけるインプラント治療を行います。
入れ歯・義歯
部分的に歯を失った場合には部分入れ歯を、すべての歯を失った場合には総入れ歯を使用します。
当院では、金属床義歯や磁性アタッチメント義歯など、精密な自費診療の入れ歯にも対応しております。
歯の移植
虫歯、破折などによって歯を失ったときに、ご自身の他の歯をそこに植えかえる方法です。ただ当然ながら、代わりに違う場所で歯を失うことになりますので、基本的には親知らずなどの機能していない歯を使用します。
ご自身の歯であるために適合も良い場合が多く、身体に優しい治療法と言えるでしょう。
再植との違い
ご自身の歯を場所を変えて植えかえるのが「移植」です。
一方で再植は、抜けた歯を同じところに戻して植えることを言います。事故などで突発的に抜けた場合などは、この再植が適応となります。
実は歴史のある治療法
歯の移植は、戦後から行われている、欠損歯に対する歴史ある治療法です。 その中で科学的な根拠、安全性も再確認され、お口の健康や身体への優しさの意識が高まる近年、再び注目度が増しています。
インプラントと同じ?
人工物を埋め込むインプラントに対して、歯牙移植ではご自身の歯を利用します。
適合が良く、人工物にはない自然治癒力が維持できるのが大きなメリットです。また、人工物では再現できない歯根膜があるため、より自然な感覚で噛むことができます。
歯根膜:歯の根と顎の骨の間にある膜。クッションの役割を果たし、噛んだ衝撃を分散させ、自然な咬み心地を維持する。
移植とインプラントの違い
歯牙移植 | インプラント | |
---|---|---|
適応外となるケース | 顎の骨の量の不足、移植先によっては適応外となる | 顎の骨の量が極端に少ない、重度の全身疾患がある場合には適応外となる |
代わりになる歯 | 必要(多くは親知らず) | 人工物のため不要 |
外科処置の回数 | 移植元、移植先の処置を一度に行う | 埋入先の処置を一度または二度に分けて行う |
顎の骨の質の影響 | 大きい | 小さい |
歯根膜 | ある。自然な咬み心地 | ない。慣れる必要がある |
自然治癒力 | ある | ない |
口腔への適合 | 優れている | 人工物の中では優れている |
治療後の歯科矯正 | できる | できない |
年齢 | 特に問わない | 19歳以下の若年者には向かない |
長期安定性 | 基本的に神経は死んでしまうため、優れているとは言えない | 優れている |
治療の成功率 | 高度な技術が求められるため、インプラントに劣る | 高度な技術が求められるが、規格のある人工物であるため、成功率は高い |
治療にかかる期間 | 4~5ヶ月 | 6~12ヶ月 |
健康保険適用 | 一部適用 | 適用外 |
歯牙移植のメリット・デメリット
メリット
- クッションの役目を果たす歯根膜が残るため、自然な咬み心地が再現される
- 一部保険適用のため、インプラントと比べて費用が抑えられる
- 入れ歯やブリッジのように、周囲の歯に負担をかけることがない
- 金属などの人工物を使用しないため、アレルギーの心配がない
デメリット
- 成功率はインプラントに劣る
- ドナーとなる歯(親知らずなど)が健康でなければならない
- 手術が必要
- 顎の骨の質によっては、適応外になることがある
- 奥歯を前歯に移植するようなことはできない
移植できる場合、できない場合
移植できる場合
基本的には、虫歯・破折などによって歯を抜かなければならない、または抜いている場合が適応となります。
もちろん、ドナーとなる親知らずなどの歯が必要です。また、顎の骨の状態がある程度良くなければなりません。
さまざまな条件がありますが、その一つ一つは特別に厳しいものではありません。まずは一度、ご相談ください。
移植の際の条件
- ドナーとなる歯(親知らずなど)がある
- ドナーとなる歯の根が複雑でない
- 歯周病にかかっていない
- 歯の大きさや形がある程度合っている
- 顎の骨の状態が比較的良い
移植できない場合
- ドナーとなる歯がない
- ドナーとなる歯が重度の虫歯になっている
- 移植先の穴の大きさがあっていない
- 歯周病で歯を失った
保険診療が一部適用になります
親知らずを同じ側の顎へ抜歯即時移植する場合、健康保険の適用となります。
親知らず以外の歯の移植、反対側の顎への移植、抜歯と移植が同時でない場合には、全額自己負担となります。
歯牙移植の注意点
- 歯牙移植には、手術が必要となります
- 移植先で歯が生着しないこともあります
- ドナーとなる歯と、抜歯した歯の大きさがある程度一致している必要があります
- お口の健康状態によっては、歯牙移植ができないことがあります
歯牙移植の寿命
ある調査では、歯牙移植をした歯の10年後の生存率は73.6%、平均の残存年数は14.6年という結果が示されました。
定期的にメインテナンスを受け、虫歯・歯周病予防に取り組むことで、噛み心地の良いご自身の歯を少しでも長く維持しましょう。
歯牙移植のQ&A
歯牙移植は、健康保険の適用となりますか?
保険適用となる歯牙移植は、親知らずを同じ側の顎へと抜歯即時移植する場合のみです。
親知らず以外の歯を移植に使ったり、反対側への移植であったり、抜歯と移植が同時にできない場合には、健康保険の適用外となります。
患者様ご自身では判断ができないことと思いますので、まずは一度、ご相談ください。
どこにでも移植できますか?
大きさが合っていれば、基本的に移植先は問われません。
ただ、やはり親知らずを使用するケースが多くなりますので、その場合は前歯や小臼歯のあったところへ移植することはできません。
治療中や治療後、痛みはありますか?
治療中は局所麻酔をかけますので、痛みはありません。
治療後は、麻酔が切れたときに痛みますが、こちらも痛み止めでコントロールできますのでご安心ください。